日系企業と外資系企業の違いってどんなところがある?外資系企業でよく聞く「ジョブ型雇用」って何?
このような疑問をお持ちの方に、「外資系と日系の違い」や「ジョブ型雇用」について解説していきます。
この記事でわかること
- 制度やカルチャーにおける外資系企業と日系企業の違い
- ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用の違い
- ワーママに外資系企業をオススメする理由
この記事を読めば、外資系企業と日系企業の違いを正しく理解し、自分の好みやライフスタイルに合ったキャリアを選択できるようになりますよ。
難しい専門用語は使わず、わかりやすく解説しています。ぜひ最後まで読んでみてください!
外資系企業の定義
経済産業省によると、資本の1/3以上が外国資本である企業を「外資系企業」と定義しています。
2020年時点での同省の調査では日本にある外資系企業の数は2,808社。そのうち42.6%がヨーロッパ系企業、21.6%がアメリカ系企業となっています。
2020 年 3 月末の集計企業数は 2,808 社。
(中略)
母国籍別にみると、ヨーロッパ系企業が 1,197 社(シェア 42.6%、前年度と比べ▲0.6%ポ
経済産業省 外資系企業動向調査 第 54 回外資系企業動向調査(2020 年調査)の概況 より抜粋
イント減少)、アメリカ系企業が 607 社(同 21.6%、同▲1.5%ポイント減少)、アジア系
企業が 822 社(同 29.3%、同 1.9%ポイント増加)となった。
他にも、以下の3つに当てはまる企業が「外資系企業」と言われます。
- 海外企業の100%子会社、日本法人、日本支社(Googleなど)
- 海外企業と日本企業が共同出資して設立した会社(3Mジャパンなど)
- 日本企業が海外企業に買収された場合(シャープなど)
ジョブ型とメンバーシップ型
外資系企業と日系企業の違いを理解するには、ジョブ型雇用とメンバーシップ型雇用について理解するのが近道です。
ジョブ型雇用
ジョブ型雇用とは、先にポジションと仕事内容を決め、その仕事を遂行できる能力やスキルのある人を当てはめて採用する雇用形態。
グローバルでは標準的なしくみで、外資系企業の多くで採用されている雇用形態です。
メンバーシップ型雇用
メンバーシップ型雇用とは、先に人を採用し、ジョブローテーションにより様々な部署を経験させる雇用形態。
主に新卒採用に代表され、多くの日系企業で採用されています。
外資系と日系の違い【制度・しくみ編】
ここからは、「制度・しくみ編」として次の7つの観点から外資系と日系の違いをみていきます。
項目ごとに解説していきます。
①雇用形態
一般的に外資系企業はジョブ型雇用、日系企業はメンバーシップ型雇用が主流です。
ここ数年はジョブ型を採用する日系企業も増えてきましたが、新卒採用をしている企業の多くはメンバーシップ型雇用を継続しています。
この入り口の違いにより、制度やしくみに様々な違いがうまれてくるんですよ。
②採用手法
外資系企業では、経験者を即戦力として採用するため中途採用が主流となっています。
一方、日系企業の多くは新卒採用を行っています。
日系企業で中途採用をする場合、入社時のポジションは指定されるケースが多いですが、入社後は新卒と同じようにジョブローテーションが行われます。
③仕事内容
外資系企業では、採用の時点でその人の仕事内容が明確にされています。
求められる仕事を遂行できなかったり、期待される成果を出せなかったりする場合は、契約違反として職を失うリスクもあります。
日系企業の新卒採用においては、配属先や担当する仕事を限定せずに採用します。
一斉に研修を行い、そのあとに配属先と仕事内容を決定するのが一般的です。
④給与
外資系企業では、一つ一つのポジションに対して、あらかじめ給与が定められており、そのポジションと給与額の条件に当てはまる人を採用していきます。
これを「職務給」といいます。
日系企業では、担当する仕事内容に関わらず、
- 新卒の社員は一律で◯◯円
- 課長職レベルの社員は◯◯円
という形で、人の能力に対して給与を決めています。
この方法を「職能給」といいます。
⑤異動
外資系企業では、原則として会社主導の異動はありません。
本人が希望すれば別の空きポジションに自主的に応募することが可能です。選考を受けて採用となれば異動になるため、外資系企業では「社内転職」とも言われます。
日系企業では、数年ごとにジョブローテーションが行われます。
さまざまな部署を経験し、組織の全体像を掴むことができますが、ときには本人の希望に反した異動があったり、転勤を伴う異動を命令されることもあります。
⑥昇給・昇格
外資系企業では給与がポジションについているため、入社後何年経っていても、同じポジションで同じ仕事をしていれば、自動的に昇給することはありません。
社内異動と同様、上の空きポジションに自主的に応募し、採用されれば異動=昇格になり、そのポジションについている給与に変更となります。
日系企業では、原則として社歴が上がるごとに昇給・昇格していきます。一般的に「年功序列」と言われる手法です。
⑦スキル
外資系企業では、ポジションを限定して採用し、異動もないことから、スペシャリストとしての活躍が期待されます。
一方日系企業では、ポジションを限定せずに採用され、数年ごとのジョブローテーションで様々な仕事を経験することから、ジェネラリストとしてのキャリアを積むことになります。
外資系と日系の違い【カルチャー・雰囲気編】
次に、カルチャー・雰囲気編として次の6つの側面から外資系と日系の違いを見ていきます。
項目ごとに解説していきます。
①会社とのつながり
外資系企業では個人の役割が明確で、会社と個人は対等な契約をもって関係性が結ばれています。
一方日系企業は組織を重んじる傾向があり、協調性・忠誠心・組織への帰属といったマインドが重要視されています。
②社員育成
外資系企業では、採用の時点で最初からスキルのある人を即戦力として採用するため、入社後にじっくり育成するカルチャーはありません。
社内に学びを得るリソース(情報源)が多いので、自分から学びに行くことができる人にとっては成長の機会にあふれている環境です。
日系企業は、新卒未経験で入った社員を、色々な部署を経験させながら徐々に難易度の高い仕事につかせ育成していく手法を取っています。
社歴に応じた階層別研修や、各部署でのOJTなど体系的な制度としての研修が充実しています。
③平均年収(基本給)
外資系企業は合理的な給与スキームを持つことが多く、複雑な手当や福利厚生はありません。
そのため、基本給は日系企業の同様のポジションより高く設定されているケースが多いです。
成果に応じたインセンティブ(成果報酬)が出るポジションもあり、若いうちから高い給与を得るチャンスがありますよ!
反対に、日系企業では手当や福利厚生が充実しているケースが多いので、基本給部分の平均値は外資系企業より低い傾向にあります。
④福利厚生
外資系企業は、福利厚生が限定的で、各種手当てや退職金制度はありません。
自主応募による社内異動や転職によってキャリアアップをしていく考えだからです。
退職金の代わりとなる確定拠出年金制度を採用している外資系企業は多いですよ。退職金と違って、転職しても積み立てたお金は自分の資産として引き続き持っておけるメリットがあります。
日系企業は、外資系企業に比べて、手当や福利厚生が充実しているケースが多いです。
今は日系企業でも終身雇用の考え方はなくなってきていますが、それでも長く働く人がメリットを受けられる制度が多く残っています。
例えば住宅手当、家族手当、退職金制度などがありますね。
⑤人間関係
外資系では個人が尊重され、仕事とプライベートは分けて考える傾向があります。
家族や大切な人と過ごす時間を重要視するカルチャーのため、飲み会など業務外の時間を取られることはほとんどなく、比較的ドライな人間関係で成り立っています。
日系企業の雰囲気は会社によるところが大きいですが、外資系に比べると組織としての一体感や協調性が重んじられる傾向にあります。
接待やつきあいの飲み会、上司のアテンドなど業務外の時間が取られることも。
⑥残業や有給休暇
外資系企業では、残業や有給休暇の取得についても個人の裁量でコントロールしやすい環境です。
「ポジションに期待される仕事を完遂できているか」だけが重要視されるからです。
実際外資系では、数週間〜1ヶ月単位で有給を取る社員も珍しくありませんよ。
日系企業でも個人の裁量に任される部分もあるかとは思います。
ただ、制度としては充実しているけれど運用として行使しにくい…というケースもあるようです。
上司が残業しているから先に帰りにくい、他の人が有給を取っている日に自分も休むと言い出しにくい…など協調性が重んじられる環境ゆえの悩みも。
外資系企業をワーママにおすすめする3つの理由
時間的制約が多く、家族のライフステージに応じて働き方にも変化が出やすいワーママには、以下の3つの理由から、ジョブ型雇用の外資系企業をオススメします!
- 会社主導の異動がない
- 評価対象は実力と成果だけ
- 家庭や育児への理解がある
それぞれ解説していきます。
①会社主導の異動がない
1つ目は、会社主導の異動がないということです。
出張や転勤を伴う異動のリスクがないことはもちろん、育休から職場復帰する場合も、もとのポジションで仕事を続けることができます。
会社主導のジョブローテーションがある日系企業では、育休から復帰したあと、残業の少ない部署や代わりの人でも対応しやすい業務への配置換えがあるケースが多いようです。
会社側の配慮だとしても、必ずしも本人の希望に沿った異動ではないし、目指したいキャリアではないこともありますよね。
外資系企業は希望しない異動がなく、育児中でも自分のキャリアを犠牲にしなくて良いという点が、ワーママにオススメです!
②評価対象は実力と成果だけ
2点目は、実力と成果のみで評価されるという点です。
採用時はもちろん、入社後においても、外資系企業での評価ポイントは「ポジションに求められる仕事を完遂しているかどうか」という一点のみ。
例えば以下のように、多くのワーママが抱える制約も、評価には一切影響しません。
- 残業できない
- 産休・育休を取った(取る予定)
- 時短勤務をしている
もちろん、制約がある中でも成果を出さなくてはいけないというシビアな面はあります。
また、ワーママだからといって成果がゆるくなるなど優遇されることもありません。
それでも、実力以外のところが評価に影響しないというフェアな環境は、キャリアを犠牲にしたくないワーママにとっては良い環境だと言えるのではないでしょうか。
③家庭や育児への理解がある
最後は、家庭や育児への理解があるカルチャーだということです。
外資系企業では、「仕事が終わったら家族や友人など自分の大切な人との時間を過ごす」というカルチャーが根付いています。
子ども関係のイベントに参加するために休みを取るのは当たり前!子どものサマースクールに合わせて1ヶ月休暇を取って海外に滞在する、なんていう人も。
ママだけでなく、全社員がプライベートを優先させる環境です。
子どもの病気で急な休みを取ることが多かったり、残業ができなかったりと肩身の狭い思いをしがちなワーママでも、このようなカルチャーの外資系企業であれば、精神的なストレスなく働くことができますよ!
まとめ:違いを正しく理解して自分のキャリアを考えよう!
今回は以下の点について解説してきました。
- 外資系企業と日系企業の違い
- ジョブ型とメンバーシップ型の違い
- ワーママには外資系企業がオススメな理由
外資系企業にも日系企業にもそれぞれメリットとデメリットがあります。
重要なのは、どちらの方が自分のライフスタイルに合っているか、どちらの方が好きな環境かということを考えて、キャリアの方向性を決めることです。
特にワーママであれば、育児との両立をしながらも、自分の仕事を犠牲にしない働き方ができる外資系企業でのキャリア形成がおすすめですよ!
外資系企業に転職すると得られるベネフィットについては、こちらの記事でも解説していますのでぜひ読んでみてください。
それではまた!